平成15年11月20日(木) 午前の部

 

1 テーマ

「日米防衛戦略論について」

2 参加者
 

(1)司会者
 

畠山 圭一(学習院女子大学教授)

(2)主催者挨拶
 

瓦  力 (衆議院議員/安全保障議員協議会会長)

(3)来賓挨拶
 

綿貫 民輔(衆議院議員/安全保障議員協議会名誉顧問)
石破 茂(防衛庁長官)
ハワード・べーカー(在日米国大使)
 

(4)基調講演

額賀福志郎(衆議院議員/安全保障議員協議会事務総長)
「日本における新防衛戦略について」

ウィリアム・コーエン(前米国防長官)
「米国の展開する防衛戦略について」

佐藤 行雄(国際問題研究所理事長/前国連大使)
「日米同盟と国連の役割」
 

3 主催者挨拶概要
 (1) 瓦議員


 昨今の国際情勢においては、アジア、中東及びアフリカが特に不安定であり、新たな脅威を生起させている。イラクに対する人的・金銭的また自衛隊による復興支援の積極性についても論議を呼んでいる。
 北朝鮮については、拉致、特殊部隊、ミサイル及びWMDに関して、日本に脅威を及ぼしている。日本の防衛は、日米安全保障条約と自衛隊のセットで維持されてきた。敵地に対する攻撃能力を米国に依存している関係上、日米安保の砲が国連より重要であることを認識しなければならない。一方、日本も自国の防衛能力向上の重要性を理解し、ミサイル・ディフェンス、サイバー攻撃対処、工作船対処、テロ対処に係る検討を推進しているところである。
 これからは、防衛庁の省格上げ、集団的自衛権の解釈、憲法の改正等、防衛改革の真っ只中に進んでいくものと認識している。
 

4 来賓挨拶の概要
 (1)綿貫議員


 北朝鮮及びテロリズム問題に直面している現況において、本会議は極めて重要であると認識している。
 

(2)石破長官

ラムズフェルド米国防長官が来日し、防衛首脳会談を実施したが、日米の認識が一致していることを確認できた。
 現在の国際情勢は、「ポスト冷戦」から「ポスト9.11」に変換されたと認識している。防衛庁においても、「防衛力の在り方検討」を実施中である。冷戦期の力の均衡の中にあっては、自衛隊及び日米安保の存在そのものに価値があったが、非対称の脅威やテロに対処する必要性から、「機能する自衛隊」「機能する日米安保」が必要となってきている。従って、在り方検討において、トランスフォーメーションや体制見直しを進めているところである。
 「日米同盟か国連か?」という問題に関しては、同盟重視であるが、二律背反ではないと認識している。分担金だけでなく、日米抜きの国連は考えられないはずである。今後は、如何に日米の意志を反映させつつ新しい国際法・新しい国際秩序に影響を及ぼすかという事が重要となる。
 

(3)ベーカー大使

日米は、永続的なパートナーであり、同盟としてでだけでなく友人として、世界で最も重要な二国間関係であると認識している。米国が繁栄すれば日本が繁栄するのであり、日米が同じ価値と目標を共有しているものと考える。これは、2国の安全保障と繁栄だけでなく、世界の残りの国々とっても大きな影響を与えるものである。米国にとっての安全保障戦略は、同様に日本にとっても安全保障戦略になるはずである。
 米国は中国と北朝鮮に対して懸念を持っているが、これは即ち、日本の防衛に対して懸念を持っているということになる。この地域に米国の軍隊を維持していることは、日本の防衛に関与するとともに、この地域を注視するという意志の表れである。日本の繁栄は、米国の繁栄であり、米国は、日本の防衛のための軍派遣を約束する。次のステップとして認識すべきは、ミサイル・ディフェンスである。ミサイル・ディフェンスは真の意味で「防衛兵器」であり、攻撃には使用できないことから日本の立場に合致するものと認識している。
 インド洋における日本の支援、そして現在イラクの復興支援に対する部隊派遣の検討について、米国は本当に日本を評価している。世界の平和を維持するため、日米同盟は極めて重要な同盟であると認識している。
 

5 基調講演の概要
 (1)額賀議員

「日本における新防衛戦略(主体的防衛戦略)について」
 現在、主体的防衛戦略論を主張しているところである。これまでの日本は、その国益に照らして主体的ではなく、他力依存であったと認識している。吉田ドクトリンでは、第2次世界大戦後の復興優先のための緊急避難的処置として、経済重視・軽武装という戦略がとられた。
 これは、間違った政策ではなく、復興後に一人前の国家へ改革することも言及されていた。そして、今こそ日本が自らの問題として、「日本の防衛」を考えるべき時代になったものと認識している。安全保障上のグローバリゼーションにより、他国で生起した事象がどの様に伝達されるのか予測困難な状況にある。「複雑かつ多様な脅威が今そこにある。」と考えている。米ロの協調は、何らかの形で責任国家としての相互依存が進展し、安定化するものと認識している。その一方で、テロやならず者国家は抑止が不可能であり、崩壊後の復興においても完全に封じ込めることが困難な状況にある。このため、秩序の維持及び協調のための軍事力の役割は、ますます重要になるはずであり、再編して新しい役割に対応することが不可欠であると認識している。この際、「専守防衛の概念整理」が必要となろう。
 専守防衛は、先制攻撃理論により崩壊したのであり、相応の見直しが必要である。自衛隊の活動に対する法的位置づけにも多くの問題が残っている。日米とも、世界の安定により繁栄する国家であり、その安全保障に対する責任は大きい。今後、日米同盟の比重はますます増大し、日本だけでなく、地域及び世界の安全保障に対応していくことが必要となる。ただし、米国との連携については、それぞれの課題毎に「Yes」「No」を明確にしていくことが重要である。また、現在集団的自衛権の行使は、憲法解釈上許されていないが、PKOにおける他国参加部隊との連携等を考慮すると、国際的責任を果たせない状態にあると言える。従って、他国には脅威とならないという基本的な考え方をしっかりもって、国際的責務を果たせる態勢を確立すべきである。
 

(2)コーエン長官

「米国の展開する防衛戦略について」

米国においては、民主党・共和党とも、米日関係の重要を認識している。米国は、日本が安全保障の分野で最大限に活躍することを期待している。そのための5つの課題について提言したい。

ー衛隊と米軍の関係の深化
計画、兵站、作戦、訓練、指揮統制及び産業等の分野において関係を深化させ、 自国だけでなく、地域及び世界に貢献することが重要である。

⊆衛隊の能力の向上
訓練による人的能力の向上、支援能力の拡大及び情報技術(ネットワーク)の共有等に関する能力の向上。

政府による権限付与
海外派遣恒久法やROEの改善等により、自衛隊に対して作戦上の権限を付与することが重要である。

ぞ閉による日本防衛基盤の確立
(日米ガイドラインでも明らかになったが)民間機関との調整には多大な時間を必要とする。省庁による調整の努力を継続することが重要である。

グ汰簡歉秣佻辰梁タ
 政府・学会・シンクタンク、並びに、経済界・ビジネス分野において、安全保障対話を促進することが重要である。また、ミサイル・WMDの拡散防止・使用抑止のため、ミサイル・ディフェンス開発の促進は極めて重要である。この際、北朝鮮のミサイル対処のため、MDの推進は受け入れやすいものであり、産業協力を推進していくべきである。
 イラクに対する部隊の派遣は、日本の国益にとっても、また、国際社会における協調のためにも極めて重要である。日本のイラク支援を実現し、安全保障分野において日本が「普通の国」になることを目標に、確実な進展を図るべきであると考える。日米は、理想と国益、そして敵を共有しているのである。
 

 (3) 佐藤大使

「日米同盟と国連の役割」
 日本の国益を達成するために、日米同盟と国連を如何に活用するかが重要である。イラク支援時の機能不全により、安全保障理事会が国際協調にとって役に立たないということが明確となった。しかし、国連は欠陥が多いものの、これに代わるものが存在しない。国連憲章により正義を与えることが出来るのであり、国連を良くしていくしか道はないものと認識している。この際、安全保障理事会は、第2時世界大戦の戦勝国が拒否権を保持する体制にあり、今日の国際政治に合致しておらず、21世紀に相応しいものに変革することが必要である。
 国連には191カ国が参加しているのであり、その安全保障理事会は、常任理事国だけでなく、非常任理事国についても拡大することが必要である。国連憲章は、国と国との戦争を想定して作られたものであり、現在の国際社会は、9.11や内乱等、国連憲章が想定していなかった状況が生起している。日本やドイツに対する「敵国条項」についても早急に削除すべきである。日本の常任理事国入りについては、国連分担金を2割負担しているという理由だけでなく、民主主義国、ODA、非核国、経済立国という観点からも当然と考える。安全保障や軍事の分野においても、PKOの派遣兵員数は世界2位であり、大きな貢献をしている。
 今後は、インド洋やイラクでの支援等、多国籍軍への参加が重要な要件となろう。イラク支援は、石油安定輸入のための湾岸地域の安定化、安保理の要請及び日米同盟を考えると、その実施は極めて重要である。日米同盟と安保理の結び付けが重要である。現在、日米の共通の利益は、ほぼ完全に一致しており、国連による協調の強化へと繋げることが出来るはずである。国連も日米同盟も、国益追求の手段であり、両方ともを推進すべきである。
 

平成15年11月21日(金) 午前の部

 

1 テーマ
 

「日米防衛装備・技術交流」パネルディスカッション

2 参加者

(1)司会者

宝珠山 昇(元防衛施設庁長官)
 

(2)基調講演

久間 章生(衆議院議員)「日本の防衛技術問題について」
ジェームス・キャラファーノ(ヘリテージ財団上級研究員)
「日米防衛装備・技術交流について」
 

 (3) パネリスト

宝珠山 昇(元防衛施設庁長官)
ジェームス・ボドナー(前国防次官代理)
チャールズ・クッパーマン
(ボーイング社;戦略統合運用ミサイル防衛システム部副社長)
ジェームス・キャラファーノ(ヘリテージ財団上級研究員)
久間 章生(衆議院議員)
西岡 喬(日本経団連副会長/三菱重工会長)
木下 博生(日本防衛装備工業会 理事長)
 

3 基調講演概要

 (1)久間議員



「日本の防衛技術問題について」
・わが国は、最新の軍事科学技術を有する装備を持つべきである。
・国内に防衛産業を持たなければ、輸入製品の修理や整備すらできなくなる。
・私、久間自身も防衛大学を受験しパイロットをめざしたが、2次試験で不合格となった。これは、1959年当時、日本人の体型にあった航空機(戦闘機)がなかったために、足の短い私は不合格になった。(冗談)
・自衛隊が使える周波数帯域が不十分なことから、欧米諸国と通信を行う際に、周波数制限が大きい。有事になれば、使える様にしたところで、平時から訓練していないものは使えない。無理に使用すれば、一般社会に電波障害を引き起こす。
・防衛庁の正面予算が厳しい。
わが国防衛産業界の顧客は防衛庁のみであり、正面装備は長い装備品で5年契約で購入している。正面装備品の購入費は、90年の1兆700億円をピークに、減少が続き、平成15年は、7630億円と、実に、71%に縮小されている。これを受けて、95年から00年の5カ年で防衛産業従事者が15%減少、設計者は9%減少。
・武器輸出3原則の見直しが必要
これまでの経緯として、67年佐藤内閣のときに、共産圏への輸出規制を主眼に武器輸出3原則が確立。76年には、さらに厳しく拡大解釈され対象国に係わらず「武器の輸出はつつしむもの」とされた。その後、中曽根政権時代に、ケース・バイ・ケースで米国に限り軍事科学技術の供与を認めるに至ったが、その後今日に至るまで、大きな変化はない。このため、米国以外が参加する軍事部門のビック・プロ ジェクトには、現在においても参加することは認められない。
例えば、Joint Strike Fighterは、現在欧米9カ国が、240億ドル(2兆円以 上)かけ、量産5000機といわれるビッグなプロジェクト共同研究を実施中だが 、日本は参加することができない。米国とMDの共同研究はできても、その成果を 反映した装備品を、日本で製造できるが、第3国は愚か、米国ですら製造すること は認められない。また、個々の部品レベルでも武器として扱われるため、輸出がで きない。
一方で近年、最先端の軍事科学技術をめざした装備品は、1カ国で製造するとなると膨大な費用がかかりコスト増。さらに防衛産業界のプロジェクト参画へのビジネスチャンスを逃しているばかりか、国際分業によるコストダウンの利益を放棄している。現実に、国際分業でき日本が部品を輸出できれば、防衛庁納入価格が安くなった事例を私自身が経験している。
 MDの導入に踏み切ったことは、防衛産業衰退の危機を抱えている。これは、2つの視点からで、すべて米国からの輸入とした場合、国内には何も残らないわけで防衛産業の技術基盤及び売り上げはない。是非ライセンス国産を追求すべきである。もう一つは、正面契約費の総枠をそのままに、約1400億円をMDに使用すると、削られる防衛産業は大変なことになる。日米共同研究したものは、現行解釈では、部品の供与はできない。要するに、日米共同生産となるものは、日本でしか製造できず、米国で製造することは禁じられてしまう。部品レベルの輸出ができるよう政府として対応すべきである。

・まとめ
わが国の防衛技術・産業基盤の維持育成の観点から、MDのラ国をめざすべき。
部品レベルの武器輸出は可能にすべき。
多国間プロジェクトに参加可能にすべき。
MD導入に伴う正面契約費の現行枠の実質的圧縮はさけるべき。
 

(2)キャラファーノ氏

・SOS(System of Systems)と呼ばれるネットワーク型システムが進展中。
・軍事〜民間への技術移転はむずかしい。
・米国には、1500万人のエマージェンシー・レスポンダーが存在。
・軍民間の技術協力は、国土安全保障政策の一環として幅広くとらえるべきである。
 

4 パネルディスカッションの概要

(1)ボドナー氏

MD、PAC3はラ国することに相当の利点があるとともに、NKの脅威下で緊急性がある。日米協力を進展させるためには、輸出制限の改善が必要であり、MDラ国の条件でもある。
 日本が輸出制限をやめることの効果は、NKのミサイル部品の90%が日本製という証言からも明らか。一方で、タイ・シンガポール・香港経由で日本の技術がNKに流れているというアジア全体の技術管理について日本側の改善が必要。

 

 (2)西岡氏

・防衛産業は大変厳しい状況におかれており、生産基盤・技術基盤の両面から正面装 備は危機的状況である。
・BMD関連装備のラ国が必要。しかしながら、予算面で、他の正面装備を圧迫することに危機感を抱いている。
・GDPの下支えは、最先端の生産・技術基盤を有する防衛産業が担ってきた。戦後、防衛生産は禁止されたが、朝鮮戦争を機に修理が可能になり、ラ国で追いつくのが精一杯という時代を経て、現在では、防衛技術に伴う技術革新がGDP世界第2位の座を得ている。戦闘機でいえば、F-86、F-104、F-4、F-15の整備・修理を経て、T-2の独自国産、F-2の共同開発を可能にした。
・対テロ装備、MDでは、相互通行・双方向の共同研究が重要
・日米安全保障の緊密化が必要。日米共同開発は政府間の枠組みの中で実施してきたが、テロ対策やITネットワークの急速な変化に追随していくためには、日米の民間レベルでの共同開発の枠組み構築が必要。中国・韓国の防衛技術分野の追い上げも厳しい状況。一方で、最新の民生技術の防衛技術移転が得意な日本という特性。 ・日米共同生産ができない。これは、日米生産分担が、武器輸出3原則によりできないことによるが、BMDの生産に当たっては、解決が必要。共同研究〜共同開発〜共同生産へと発展が必要。これからは、構想〜生産までを日米双方向で双務的に実施することが必要
・まとめ

民間レベルでの技術情報交換・技術協力の枠組み作りが必要。日米共同生産の実現。
 

(3)木下理事長

・20年前に中曽根総理が日米防衛技術交流の一環として、米国のみへの技術供与認めて以降、その後の進展がきわめて遅いと認識。(当時、米国は民生技術の移転も希望していた。)
・柔軟な運用を望む。共同生産、共同開発が容易にできる枠組みの構築。集団的自衛 権、個別自衛権がからむC4ISR。情報共有を巡って、米を攻撃するミサイル情報は、集団的自衛権が絡む。
・技術管理武器輸出3原則を掲げながら、敵対国に日本のハイテク技術が輸出されて いる現実。MD技術も海外流出するようであれば日本の技術管理も問題。日米共同研究開発・生産への阻害要因。
 

(4)クッパーマン氏

・脅威から逃げることはできない。早期の対応が必要。
・日米装備・技術交流の促進

(5)その他
(参加者からの質問・意見等)

・ソ連崩壊後、輸出規制対象国家は、社会主義国家ではなく、テロ国家という考えが必要。
・防衛技術は出すが、モノは出さない日本というレッテル。
・中国の化学兵器処理に自国(日本)のガスマスクを持っていけないという現実。
・自然災害被災国から、わが国の除染車両を防疫用に転用したいと輸出の要求があるのに対応できない現実。
・日本の国産化路線は破綻しつつあるのか? 破綻しているとは思わない。国産品を 努めて導入する政策に変更はない。
・日本の防衛産業の縮小・再編成は可能か? 勝った会社が、負けた会社を吸収する 方式は、わが国の防衛産業にはそぐわない。民生技術からの派生が多いこともふま え、防衛産業を1社にまとめていくことは政策的にも不適当。
・MD論議については、技術面からが強調され過ぎている。運用面の取り極めも同時 進行が必要。ユビキタス社会のグローバルな情報システムが前提であり、同盟国間 の情報に関する協定、共通プロコトルの統制等が必要である。


平成15年11月21日(金) 午後の部

 

1 テーマ
 

「生物化学テロ対策問題」パネルディスカッション

2 参加者

(1)司会者

畠山 圭一(学習院女子大学教授)
 

(2)基調講演

ステファン・リーブス(米陸軍省化学・生物統合防衛計画司令室司令)
 

 (3)パネリスト

ステファン・リーブス(米陸軍省化学・生物統合防衛計画司令
入谷 誠(内閣官房 内閣参事官)
永井 達也(警察庁警備局警備課重大テロ対策官)
原  徳壽(防衛庁運用局衛生官)
 

3 基調講演の概要

リーブス陸軍准将

○テロリストに都合の良い生物化学兵器
・安価で簡単に作れ、隠蔽容易
・食品・水・大量輸送機関・野球場等の任意の対象で、1〜1000人まで、自由に 殺傷できる。
・投射方法も、郵便物〜農薬散布装置まで様々。
・製造施設も、外観からも建物内部からも容易に判定できない。

○米国の取り組み>
・国家戦略、ホームランドセキュリティ
・北米コマンド
・国土安全保障省
・国防総省と国土安全保障省との連携
・民軍統合

※単一組織での対応は無理
 

4パネルディスカッションの概要「生物化学テロ対策問題」

(1)畠山教授

米国CIA、FBIも、日本も、知らなかった松本サリン事件とカルト教団(オウム)との関係を事件発生後、まもなく米国議会が知っていたという事実に驚きを禁じ得なかった。
 

(2)入谷氏

○生物化学兵器テロに対する基本姿勢
 起きたときの対処の前に、起こさないための対処が大切。
 出入国管理、NBC関連物質の管理の徹底。

○「NBCテロ対策会議」マニュアル作成
 13.11の米国の炭疽菌事件を受け、わが国としての生物化学兵器テロ対処の基本方針を決定。

・感染症対策、ワクチンの準備・備蓄
・警察・自衛隊・消防・海保の連携
・国民への適時の情報提供

○内閣情報集約センター
 365日24時間体制で、関係省庁、マスコミ、民間公共機関から情報収集(警察 、消防、防衛、外務、厚生労働)


 救急・原因物質の特定・除染・海上発生時・連絡初動体制に関するモデル。
・原因物質特定モデル
 警察・消防・保健所・医療機関・日本中毒情報センター間の連携要領
 

(3)永井氏

○生物化学テロ対策
・テロの転機は、95.1阪神大震災、95.3地下鉄サリン事件、長官狙撃事件
・内閣としての危機管理が進展。
・最近では、9.11や不審船を受け、テロ対策と安全保障がより緊密な関係に
・防護服の整備 東京や大阪を初めとする都市部では、警官に防護服を整備
・検知・分析機能の強化  1億5000万円の予算
※炭疽菌事件を受けわが国でも白い粉事件は2600件発生
・警察・消防の連携・強化 

○事前防止策
 従来、テロの主対象は極左・右翼等を対象。オウムに関心を持っていなかった。
・外国関係機関、海上保安庁、入国管理事務所との連携を強化
・関連物質の管理
・インターネットによる不自然な取引の監視

○テロ今後の傾向
・原子力発電所等の重要防護施設だけでなく、不特定多数が集う公共機関等(ソフトターゲット)の一般人をねらうのが増加

○国民の理解と協力が重要
→空港でのセキュリティチェック等、多少の不便は我慢
 

(4)原 氏

○NBC対処能力の向上
 「Bテロ」天然痘・炭疽菌ワクチンの整備

○防衛庁の基本姿勢
・警察・消防・厚生労働省に対する支援
 →災害派遣・治安出動として対処
・化学防護小隊の任務等;輸送・医療・検知・拡大防止・除染等
・生物テロ対処機能;検知;監視;同定;防護;除染;予防;診断;治療
※平成19年度末 中央病院の建て替え完了。NBC対処能力の向上

5 質疑応答等

(1)米国では、訓練が大事としているが実績等は
○9.11以降で、4〜6万人を訓練
○ウェブサイト等を利用した情報の提供・教育を実施

(2)米国から見て日本の対処要領への考慮事項・アドバイス等は
○すばらしい、周到な準備がなされ、適切な段階区分が存在
○一ついえるとすれば、それは「継続が大事」なまけてはいけない。平時の態勢が大 事。即応性に直結する。

(3)「生物テロ」と「生物戦争」の線(区別)は引けるか?
○できない。実質的な問題は「量」。
 例えば、リシンを野外戦闘で使用するとなれば、大量に必要。
 しかし、地下鉄などの閉所で使用すれば威力大。

(4)国民の気概・意志が重要
○テロ対策のための助成金を地方自治体に提供する等、地方自治体や企業の取り組みが重要。
○米国では、ラボラトリー・レスポンス・ネットワークが発達
○初等教育は、企業が自分で社員に教育するなど、その意識は高い。
 


平成15年11月25日(火) 午前の部

 

1 テーマ

「新ミサイル防衛構想について」パネルディスカッション
 

2 参加者

(1)司会者

宝珠山 昇(元防衛施設庁長官)
 

(2)基調講演

ウィリアム・シュナイダー(米国防長官顧問)
 

(3) パネリスト

ウィリアム・シュナイダー(米国防長官顧問)
ジェームス・キャラファーノ(ヘリテージ財団上級研究員)
月原 茂皓(参議院議員)
前原 誠司(衆議院議員)
西山 淳一(三菱重工業 誘導機器部長)
田島 洋(BMD国際委員会 日本代表)
 

3 会議の概要について

(1)MDの論点について
ア 技術的可能性及び効果の疑問<
イ 多額の経費の不安
 防衛予算が削減されている昨今、他の防衛経費とのアンバランスが懸念、MDのために万骨枯れるようでは困る
ウ 周辺国(特に中国)の反発及びそれに対する遠慮
エ 日本が主体的に運用できる可能性
オ 集団的自衛権の法的課題
 額賀政調会長等の積極的な働きかけにより、良い方向に進んでいる。>
カ 防衛産業への悪影響
 

4 基調講演の概要
 シュナイダー博士


(1)WMDの拡散
 北朝鮮、リビア等の技術力がない国家でも弾道ミサイルを保有できる状況になり、それに対処するためのMDが必要不可欠となる。そのため、MDがこれからのコア・コンペタンスとなることが重要である。

(2)外交的役割
 WMD拡散阻止

(3)軍事的役割
 他の兵器を強化することによる国家防衛力の強化

(4)WMDの脅威に対する共通の国益による日米の連携の強化
○民間レベルでの協力(担当部間の設立)及び武器輸出の緩和の必要性
○アジアにおいてはMDにより、WMDの脅威を削減する。

(5)21世紀への課題
○多国間の防衛協力・協定によるWMD保有の阻止
○日米においても説得してWMDを持たせないようにする努力が必要
○日米のMD協力の必要性
 日米協力の有効性のためにも集団的自衛権を日本が行使できることが必要
○情報技術の共有化(特に、日本にとって優位な技術)
○インフラ整備の重要性
・2国間の産業協力の必要性及び相互運用性の確保
・ライセンス生産により技術の高度化に対応

(6)日米の枠組みの確立
 日本が貢献できる部分(技術的分野)の確立(米は他の同盟国との産業協力のモデルを保有)
 

5 パネルディスカッションの概要

月原議員

(1)MDの対象について
 国家とテロリストに分類する場合、国家間であれば対処可能だが、テロリストについては、どのように対処すればよいか?(そのプロセスについて)

(2)MDの効果的配備について
 米軍基地を守るということが米との同盟関係から重要だが、その場合のMDの位置づけはどのようになるのか?又、その時の指揮系統、・プロセスは?
 米のMDに関する研究成果は日本のMD研究に反映されるのか?(スパイラル方式で2年ごとに取り入れることができるのか?)
 

前原議員

(1)民主党は基本的にMDの必要性は認めている。

(2)MDに対する問題点
ア 費用対効果の整理
 限られた防衛費の中で、他の必要経費といかに取捨選択していくのか?
イ 日米同盟関係に対する法的整備
 集団的自衛権の問題及び米に対する情報収集能力への依存
ウ 武器輸出3原則の見直しの必要性
エ 周辺国(特に中国)に対する説明の必要性
 中国とのアンバランスの問題をどう解決していくか
 

西山氏

(1)日本はMDを開発する能力(ミサイルを迎撃する能力)があると思うが、信頼性の高いものを開発することが重要(ミサイルが最初に開発され、その迎撃ができるまで約50年かかった歴史的経緯がある)
(2)米との共同研究を拡大し、導入することにより効率よくシステムを構築することが重要(日本には攻撃ミサイルがないことから)
 

田島氏

(1)スパイラル方式による技術協力の必要性
 2年ごとに見直しを実施することにより、技術開発における柔軟性を確保するとともに、他社の参入を認める。

(2)企業間の対話の必要性
 米国との枠組みの確立及び各企業にインセンティブを与える必要性

キャラファーノ氏

(1)MDはこれから日米協力の枠組みを作ることが必要。
(2)MDは軍拡を防ぐものであり、国家防衛を越えたものである。
(3)スパイラル方式による新たな脅威にも対処可能な柔軟な開発体制の確立の必要性
 

シュナイダー博士

(1)ソマリア、シエラレオネ等国家の形態が崩壊したところにテロリストのWMDが配備されやすい。彼らは商船等にスカッドミサイルを配備しているケースがあるので大きな脅威となっている。このため、それらに対する情報の共有の必要性がある。
(2)MDを有為・戦力化するためのインフラ整備が必要
(3)コスト効果を高めるための技術協力の必要性
 コーポラル・エンゲージメント(技術開発面において日米で重複しないよう効率的に実施すること)の活用
(4)防衛産業に対してはインセンティブが必要
 技術革新におけるITの活用及びアプリケーションを拡大することによる市場の拡大
 

(総合研究部長)

MDにおけるパッシブディフェンスの役割を包括的に捉えるか、パッシブディフェンス、対ミサイル攻撃、核このうち攻撃的な部分については、先日コーエン氏が日米のMDシステムと米国の攻撃力の組み合わせというコンテクストで指摘されたところである。生物化学兵器の弾頭やミサイル攻撃が同時並行的に行われるテロを考慮する時、パッシブなMDシステムとパッシブディフェンス特にBC対策が重要と思われる。米国におけるパッシブディフェンスの全体像に関する考え方将来の日本にとって示唆となるべき点は何か?
 

シュナイダー博士

バイオシールドなど、化学攻撃に対する脆弱性を克服するため、システムとして対策を検討している。それは、 クチン・免疫等で化学兵器の効果を削減
 

キャラファーノ氏

パッシブディフェンスにおいても抑止的効果があり、説得力もある。
 

(金田岡崎研究所研究員)

我が国がMDの保有の有無で、韓国・北朝鮮のWMD、弾道ミサイルの保有の動向に変化はあるか?
 

以上


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